死を看取る行為は、話題の映画「おくりびと」でも紹介されたように湯灌士や死化粧師をはじめとする葬祭事業者が葬送儀式の一環として行っているのはもちろんのこと、介護・福祉事業者や、最近では故人が生前通っていた美容師に依頼のあるケースもあるようだ。
日本国内では9割近くの方が病院などの施設で何らかの疾患により人生の最期を迎えている現在、看護師をはじめとする医療者も必ず何らかの看取りの処置が行われている。
しかしながら、そもそも医療者にとっての「死」は医療の力が及ばなかった敗北の結果との考えが根強く、医療ミスに過敏な状況も少なくないことから、医療者が積極的に死に関わることは未だ敬遠されがちで、戦後からのいわば形骸化された死後処置が続けられているのが現状である。
そんな中、延命よりも自分らしい人生を優先することを目的とした終末期医療への関心が高まり、全国にホスピス・緩和ケア病棟が設立されたことに呼応し、そこに従事する看護職が中心となり、これまでの死後処置を見直し、「エンゼルメイク(エンゼルケア)」という看護の締めくくりとしての看取りを模索し、それを行う動きが活発化している。
「エンゼルメイク(エンゼルケア)」とは死後の化粧に限らない全身へのケアであり、大切な人を失った家族が死を受容するための援助を目的として行われる。
大切な家族の死は、到底受け入れられるものではない。覚悟していた死はともかく、突然訪れる死は拒絶あるいは激しい怒りを引き起こす。
社会において、死は長い間タブーとされ、核家族化の影響により以前のように親戚縁者が集まり、皆で故人の体を目の当たりにしながら、時には体に触れ死を弔う習慣もなくなり、いつしか現代人は死に対する免疫力を失い、愛する人の死を前に多くの人は無力となっていった。
ことに、病院で死を迎える患者は、医療技術の発展に伴う延命治療により長く闘病生活を余儀なくされ、自分らしい容貌を著しく失っていることが多く、あまりにも以前とかけはなれた姿と対面し愕然とするケースは少なくない。
エンゼルメイクの目的は、故人の身体を清潔にすること、医療行為や疾患によって生じた外観の変化をケアすること、その人らしさを取り戻すこと、身なりを整えることなど様々であるが、大切な人を失った家族の悲嘆へのなぐさめとなり、家族が死と向き合い、死を受容し、死について思いをめぐらせる環境をつくることを目指すものである。
また医療者自身にとっても、これまでの医療や看護に区切りをつける意味において、エンゼルメイクを行う意義がある。
死ぬは生きるの反意語ではない。死は人生最大の試練ではあるが、死をしることは生きることの大切さ、素晴らしさを教えてくれる大切な機会にもなる。
エンゼルメイクは人の命を救う臨床行為ではない。それでも常に生と死のはざまにいる医療者が、職業人の責務としてエンゼルメイクに懸命に取り組む動きがあることをぜひ知っていただきたい。
これらを広報いただく機会が増えていくことは、社会にとって非常に意義深いものになると確信している。
看護師をはじめとする医療者が取り組む「エンゼルメイク(エンゼルケア)」について取材のご意向がございましたら、弊社までご連絡くださいませ。できるだけ前向きにご協力させていただきます。
株式会社 素敬
代表取締役社長 上野宗則
TEL083-232-1226
FAX083-232-1393
sokei@info.email.ne.jp